「殺人出産」を読んで

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村田沙耶香さんの「殺人出産」を読みました。10人の子どもを出産すれば1人の人間の命を奪ってもよいという「殺人出産システム」が合法化された近未来の日本を舞台にした小説です。村田沙耶香さんの作品を読むのはこれが初めてですが、そのぶっ飛んだ設定に興味をひかれて手に取ってみました。医学の進歩によって超高齢出産だけでなく男性の出産も可能となり、重罪を犯した人間は「産刑」に処されて一生出産をさせられ続けるといういびつな世界が描かれています。しかしそれによって少子化による人口減少問題が一気に解決されたことは事実であり、人々はこのシステムをそういうものかと受け入れて順応していくところにうすら寒さを感じます。
出生、妊娠、出産、死のすべてが人工的なものになったら、逆に人間は自然に任せることに憧れるようになったりするのでしょうか。常識だと思っていることも永久にそうではないんだと思い知らされます。読みやすい文章で一気読みしてしまいましたが、死生観について考えさせられる印象深い一冊でした。中古車の査定相場ってどうやったらわかるの?